緊急:疑惑のNHK・あさイチ報道(がんワクチン)

私は新薬の動向に目を光らせている。イノベーションの塊だからだ。ライフサイエンスが次の高付加価値市場だろう。
日本初で期待がされていたのは「がんワクチン」だ。
最近でもNHKあさイチで大きく報道されていた。
放送は2月6日だ(日付をメモメモ!)

驚き!がんワクチン治療最前線

専門家ゲスト:中村祐輔さん(東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター 教授)
ゲスト:内藤剛志さん(俳優)、城之内早苗さん(演歌歌手)
リポーター:内藤裕子アナウンサー

日本人の2人に1人がかかると言われる“がん”。これまでのおもな治療法は外科手術、抗がん剤放射線の3つですが、番組では、最近注目されている「がんワクチン治療」の最前線に迫りました。患者自身の免疫力を高め、がん細胞を攻撃するもので、副作用が少なく、月に数回通院して注射を受けるだけという利便性があります。日本では臨床試験の段階ですが、その効果に救われる人も出てきています。すい臓がんでもう治療法がないと言われたものの、肝臓に転移した腫瘍が消え、家族旅行を楽しめるまでに回復した30代の主婦。余命2か月と言われ抗がん剤治療を始めたものの副作用で投与を止めざるをえず、絶望のふちをさまよったが、症状が改善した40代の男性など、がんワクチン治療の体験者を紹介。その驚きの可能性から治療費など課題まで、がんワクチンの全貌をお伝えしました。

録画してみたが「期待を煽る内容」だった。こういうときはちょっと斜めに見るのが肝要だ。
と思っていたら先程同じNHKでこんなニュースが・・・

がんワクチン有効性確認できず

2月28日 22時2分
患者の免疫を活発にしてがんを治療する「がんワクチン」の臨床試験で、各地のすい臓がんの患者に投与して延命効果があるかどうか効果を確かめたところ、有効性が確認できなかったことが分かりました。
東京大学医科学研究所の研究者らが設立したベンチャー企業オンコセラピー・サイエンスは、28日夜、NHKの取材に、全国の25の医療機関で行ったすい臓がんに対するがんワクチンの臨床試験の結果を明らかにしました。
臨床試験が行われたのは、大学の研究成果をもとに開発したがんワクチンで、がん細胞の表面にあるペプチドという物質を人工的に合成して患者に投与し、免疫の働きを活発にしてがんを治療するのがねらいです。
進行したすい臓がんの患者153人を、抗がん剤に加え、がんワクチンを投与したかどうかで2つのグループに分け、比較したところ、延命効果に統計上の差はなく、がんワクチンの有効性は確認できなかったということです。
この結果を受けて、ベンチャー企業とともに臨床試験を行ってきた製薬会社では、がんワクチンの開発計画を見直すことにしています。

効果が見られなかったのは、これだな
膵臓がんのワクチンOTS102だ。以前IRも出ている
まだ最新のIRは出ていない。

この報道は大変問題が多いのではないか?その理由は
1)研究開発型企業が最も重要な結果情報をIR前に公表されていること。「情報管理」という言葉を知らないのか?
2)2/6の番組では「効果がある」「大変期待出来るもの」と研究者自らが発言しており、国の支援が必要だ!というスタンスで話していた。この番組をみて「夢」と見た患者と投資家がいただろう。
株価の推移はこの通りだ
NHKあさイチの制作者はどのように抗弁するのだろうか?
かぎりなく広告に近く、そして投資家を欺いた報道だ。
今日の株価は終値は190,100円。明日の株価はいくらだろうか?
ちなみに提携先は「扶桑薬品工業(株) 」本日の株価・終値は240円だ
2月6日以降ぐんぐんと上がっていた。
きっと期待が高かったんだろう。それにしても「怖い世界」だ。
証券新聞でも、こんな記事が・・

オンコセラピー・サイエンス(4564・東証マザーズ市場) 2月末の臨床試験結果に注目。(みずほ証券
2012年2月22日 9:16
 みずほ証券は2月20日オンコセラピー・サイエンス(4564)の投資判断を「買い」継続で、目標株価を24万34千円→24万4千円に微調整した。
 膵臓がんを対象としたペプチドワクチン「OTS102(エルパモチド)」の第2/3相臨床試験のデータ解析の結果発表は3月の予想だったが、2月末に早まる可能性が出ている模様と報告。
 良好な結果が得られ、9月に承認申請し、2013年11月に上市と予想。

 標準療法との比較試験のため、認可となれば今回の治療方法〔抗がん剤「ジェムザール」(イーライリリー社)とOTS102の併用療法〕が日本における進行性膵臓がんの標準療法(学会などが作製するガイドラインにおいて第一選択の治療法とされる医療)になると考えられると紹介。(W)

 09時11分現在、オンコセラピー・サイエンス(4564)の株価は、2,600円高(1.50%高)の175,800円。

証券会社のリポートも気をつけないといけないなあ。「いい事例だ」予想は予想なのだ。ちなみに開発の中心人物となる研究者は12月末に東京大学を辞しシカゴ大学へいくことを明らかにした。株主構成をみると21750株(10.51%)をもつ大株主だ。やはり大株主の動きは見ておかないといけないな・・・・。何度も書くが明日の株価は要注目だ。